1.羽毛の敷布団、聞きませんね
羽毛はどの繊維よりも汗を吸い、自分でドンドン乾くため、ムレにくい性質があります。
また、非常に軽く、圧迫感がありません。
特に冬などはとてもあたたかいため、掛布団として理想的な素材と考えられます。
ですが、つぶすと簡単につぶれます。
敷布団はからだを支えなければならないため、敷布団に羽毛は向いていません。
そのため、「羽毛敷布団」を見たり聞いたりすることがほとんどないのです。
ただし、ベットや布団の上に置くプラスアルファのマット、薄いパットとしてなら、優れています。
敷布団の上に敷く敷パットを羽毛にすると、あたたかく、ムレ感がなく、ほわほわ感があり、とても気持ちよく眠れます。
市販品としてはフェザーパットが販売されていますが、これは羽毛(ダウン)ではなく「羽根(フェザー)」なので、羽毛パットほどの気持ちよさはありません。
※羽毛(ダウン)と羽根(フェザー)の違いについては、このページの最後のほうをご覧ください。
2.羽毛入りの羊毛敷布団
あまり聞きませんが、羽毛入りの羊毛敷布団も存在します。
つくり方によって2種類に分けられます。
①羊毛の層と羽毛の層に分けてあるもの
羊毛敷布団は羊毛でつくってあって、その上に羽毛のパットがのせてあるような、表面羽毛、裏面羊毛という敷布団。
この場合、しっかりと背骨を支えるようにつくってあれば、敷布団としてとても優れていると思います。
②羊毛と羽毛を混合にした敷布団
櫻道ふとん店へ打ち直し(お直し)に出していただいた敷布団の中で、過去に1枚だけ羊毛と羽毛が混ざった布団を見たことがあります。
職人が試すつもりでつくったのでしょうか。
ごちゃ混ぜにされた羊毛と羽毛は、ごみかと思うほどひどい状態でした。
3.敷布団の羽毛のはなし
2019年に訴えられて廃業状態のジャ◯◯ライフという訪問(ネズミ講式)の会社があります。
この会社が儲け主義でつくったのが「羽毛敷布団」でした。
この会社は、創業当時「磁気の敷布団」と「羽毛布団」を高価に販売しておりました。
一時期ブームになったほどですが、中身の羽毛はそれほど質のいいものではありませんでした。
「磁気の敷布団」は「健康寝具」として売り出され、一世を風靡して、現代の「機能性マットレス」の先駆けとなりました。
磁気マットレスのブームが去り、「羽毛敷布団」という名で「羽根敷布団」(フェザーいっぱい)を販売しておりました。
この敷布団は、5cmくらいの厚みがありまして、「羽毛」と比べてかなり重たかったです。
たまに、「処分してください」とお客様が搬入されます。
櫻道ふとん店では羽毛布団のお直しができますので、羽毛の敷布団のお直しもできます。パットタイプのものが多いと思いますが、少しヘタったので、なかの羽毛をもう少し増やすという対応ならおまかせください。
ただ、前述のような「使い切り」のコンセプトでつくられた羽毛敷布団や羽毛パットが多く、その中身はほとんどが「羽根(フェザー)」。
ダウン比率50%で「羽毛敷パット」と銘打った商品が多く販売されています。
この場合ですと、処分して新品購入されることをおすすめしています。
5.【ミニ知識】「羽毛」と「羽根」は違います
「羽毛」と「羽根」は似ていますね。
けれど違うものだとご理解ください。
「羽毛」は水鳥の胸や腹に生えている、たんぽぽの種のようにまるい状態のフワフワする毛のことです。
「ダウン」と呼びます。
一方、「羽根」は同じ鳥から取れますが、飛ぶために、軽くて丈夫、また風を切るために、木の葉のように真ん中に芯があり、そこから放射線状になっています。
こちらを「フェザー」と呼びます。
羽毛と違い、保温力はありません。
羽根の芯の部分はストローのように穴が開いていて、十分に洗浄されていないと虫がわく可能性が高いので、おすすめできません。
羽毛(ダウン)はねじらなければゆっくりと復元しますので、羽毛敷パットなら、気持ちよく使えます。
フェザーをメインに使ってつくった「羽毛敷布団」または「羽根敷布団」と称する敷布団を長くお使いの方がいらっしゃるようです。
涼しさの面から、夏にお使いの方が多いようですが、現在は製造量が少なく、リフォームができない点や、弾力がなくからだを支えられないことなどを考え、
櫻道ふとん店ではおすすめしておりません。
6.櫻道ふとん店では羽毛布団もお直しが可能です
櫻道ふとん店では、羽毛のお直しを承っています。
通常は、掛布団から掛布団にお直しで、ゴミ取りをキッチリするので、出したときより少し減るため、“たし羽毛”をします。
ところが、ダブルサイズからシングルサイズへ、サイズダウンした場合、羽毛が余る場合がほとんどです。
余った羽毛を「そのまま処分してください」
とおっしゃるお客様が1番多いのですが
「羽毛敷パット」につくりかえるという手もあります。
今ある敷布団の上に、この羽毛敷パットをのせると、とても気持ちがよいのです。
羽毛にはからだを支える力がなく、上に乗ったらつぶれてしまうという欠点を、逆に利用したものです。
そんなに厚くない敷パットなら、からだを支える重要な部分をその下の本体に任せればよいからです。
信州大学繊維学部の吉田先生も、
「からだを点で支えると、早く深く眠れます」
そして
「からだに触れる面積が大きいと安心します」
とおっしゃっています。
櫻道ふとん店の「腰いい寝」「快眠の王」と共用すると、羽毛敷パットは理想的な寝具になります。